株式会社LIXIL
LIXIL Advanced Showroom

6代目スペシャルコーディネーターが行く! ミラノサローネ2023視察レポート~発見と刺激にあふれた6日間~

2023年4月イタリア、ミラノを訪問した6代目スペシャルコーディネーターの田中さん・並木さん・木川さんの3名。目的は、世界最大のデザインの祭典・ミラノサローネ2023の視察です。最新のデザインと美しい中世の街並みが融合するこの地で、世界の著名ブランドや気鋭のデザイナーによる最新のデザインやトレンドに触れた6日間を、スペシャルレポートとしてお届けします!

<ミラノサローネとは>
ミラノサローネは、正式にはミラノサローネ国際家具見本市として、世界最大規模のデザインイベントとして知られる。2023年は世界的な新型コロナウィルス感染症の流行後の初開催として、例年以上に注目を集め6日間、37か国から合計2,000を超える展示が参加。ミラノのロー・フィエラミラノにあるメインの展示場のほか、街中のさまざまな施設や、メーカーのショールームなどを使ったフォーリサローネ(サローネの外の意味)で、デザイナーや各国のブランドが最先端のデザインやインテリアを披露する。また、街をあげてデザインに関するさまざまなイベントが開かれており、これらを総称して「ミラノデザインウィーク」ともいう。

REPORT➀「キッチンの固定概念が覆され、お客さまの真のニーズをカタチにできる提案に」〜木川さんが感じたこと

日本とは違うキッチン事情から開けた、新しい視点

「自分自身の固定概念が覆された」
それがミラノサローネを見てきた私の、率直な気持ちです。街中がデザインに溢れ活気づいていて、圧倒される毎日でした。イタリアブランドのキッチンをたくさん見て触れて体感して、さまざまな気づきがありましたが、特に印象に残ったのはその形でした。日本ではLDKが見渡せるような、オープンな対面タイプのキッチンが主流です。家族のだんらんが生まれ、家事をしながら子どもの様子が見られる、そんなメリットがあるからです。でもイタリアでは日本だと昔のスタイルと思われがちな壁付けのキッチンが多く、思わず「どうしてですか?」と質問してしまいました。答えは、「使い勝手以上にデザインが大事だから」ということでした。壁付けだと扉などで、キッチンを隠すことができます。こまごましたものが多いキッチンが、一瞬で隠されてすっきりした空間に変わるのを見ると、なるほどと感心させられました。イタリアはそんな美しさを大切に、デザインを極めたキッチンが多かったです。日本でも来客があったらキッチンは見せたくない、という方はたくさんいます。” 対面タイプキッチンが主流だから ” という固定概念を取り払って、お客さまの本当のニーズをカタチにすることが重要だと改めて気づかされました。

日本に戻ってさっそく接客で、「イタリアではこんなキッチンが多いんですよ」とお伝えすると、そうなんですね!とポジティブな反応をいただいたり、現地で見た素敵な色使いを「こんなカラーがトレンドですよ」とお客さまにもお伝えすると、イタリアのトレンドにお客さまも興味を持っていただき話が盛り上がると私もうれしくなりますし、もっとイタリアで得たものを周りに広めていきたいという気持ちが強くなります。

レストランで学んだホスピタリティの真髄

サローネやショールームを見るだけではなく、グローバルなホスピタリティを知るため、ミシュランガイドでも「行き届いたサービス」に定評があるレストランで実際にサービスを体感しました。はじめは慣れない環境に緊張してしまいましたが、テーブルを担当してくださった方は、とても明るく、チャーミング。ボディランゲージを使い、言葉は通じなくてもたくさんお話をしてくださって、私たちを終始楽しませてくれました。高級レストランだから、こう、というようなことはなく、私たちがここで過ごす時間が楽しく素敵なものになるよう、たとえ言葉は通じなくても心が通じ合うために何をすべきか考えて行動してくださっているのが伝わってきました。

この経験を通して「LIXILショールームのサービスという揺るぎないものを土台にしながら、お客さまに有意義な時間を提供できるホスピタリティをどれだけ付加できるか」そこがこれから私たちがもっと追求していくべきところだと実感することができました。

私にとっては初めての海外でした。ミラノサローネでも大きな気づきを得ましたが、食事や統一感のある石造りが主体のミラノの街並みにたくさんの驚きを得ました。それらを通して感じたことは、世界と自分の仕事が繋がっていることでした。決して遠いものではなく、私たちの日々の活動の隅々にも世界につながる要素が潜んでいると感じたのです。だから、常に高い目線で世界を見据えながら、日々の仕事に邁進したいと思います。

木川さんのイタリア旅
羽田空港でスーツケースにロックがかかってしまい、出発前からトラブルに見舞われる。しかし初海外とは思えない行動力と飲み込みの良さで、到着から数日で現地に馴染み、頼りにされる存在となった。

REPORT②「こんな色の組み合わせがあるんだ!デザインの本場で触れた配色の世界」〜並木さんが感じたこと〜

これまでにない色合わせに感性を刺激される

きらびやかで素敵な色使いが溢れ、高級で広いインテリアショップのようなミラノサローネ会場。どのブースを見ても、それぞれ打ち出しているテーマやこだわりが感じられ素敵だったのですが、私が気になったのはインテリアの色合わせです。

天井にグレーを使う、ちょっとした場所に差し色でオレンジを入れるなど、自分ではあまり思いつかないような配色の組み合わせをたくさん見ることができました。「この色とこの色を組み合わせるのか」と、驚きましたが、自分の中にない視点を得られるのが、見本市の魅力。お客さまへのご提案の中でもカラーコーディネートは重要なポイントですので、今後ももっと自分から空間デザインに対してアンテナを高く張り、提案に繋げたいと思いました。

シンプルに「すごい」と思ったのは、ミラノサローネに展示されたキッチンでは収納の内部にも色を使っていたところです。収納の内部は機能面をどうしても考えがちですが、確かに収納の内部が彩りのある色づかいをしていたり、カラフルで可愛い色が使われていると、食器などを片づけるたびにウキウキして、家事が楽しくなってくると思います。日本にいると機能性やメンテナンス性といったことに目がいきがちですが、そうではない世界がそこにはありました。ミラノサローネに来たからこそ出会えた視点、得られた感覚は、この先も生きるものだと思います。

世界で出会った日本企業は

日本企業の展示もいくつか見てきました。みんなで話し合って見てきたのは、LIXILともつながりがある企業の展示です。その中の一つ、川島織物セルコン様では大きな「苔」に見立てた手織りの織物を展示していました。その展示をルーペで観察してみました。光の当たる角度で色が違って見える織物が「苔」の繊細ですが力強い命を感じさせるものを表現されていました。他の展示物も日本らしさと最新テクノロジーが融合し、とても不思議で興味深い展示となっていました。私のショールームでは川嶋織物セルコン様も同居しているのですが、お互いに忙しくて技術や思いについてのお話を聞く機会はあまりないので、担当者の方と接することは非常に良い体験でした。まさかミラノでそういった話をするとは思っていなかったのですが実現したのが面白かったですね。日本の技術の繊細さや緻密さを世界に伝えていて、改めてすごいな、と思いました。この「苔」の表現は日本の伝統技術を継承したものと伺ったのですが、見る角度で美しく変化する様は、自然豊かな日本を伝えていたと思います。

日本のブランドの出展は多くはなかったのですが、それだけに世界の広さを感じました。世界というフィールドで水まわり商品に触れ、たくさんの可能性を感じました。それと同時にLIXILのデザインや機能の素晴らしさに改めて気づきました。私はLIXILというブランドをお客さまにしっかりと伝えられているか?と自問自答もしてしまいました。今以上を目指して、さまざまな角度から理解を深め、お客さまに合った言葉で伝える努力を続けていきたいです。

並木さんのイタリア旅
イタリアは初めての訪問。14時間半のフライトでは用意したクッションがサイズアウトで離陸前に没収されてしまい、リラックスしにくかったと苦笑する。現地では木川さんとともに情報収集を積極的に行い、コーディネーターとして培ってきた臨機応変な行動が存分に発揮された。

REPORT③「世界のトレンドを五感で受け取り、お客さまにも還元したい」〜田中さんの感じたこと〜

照明、カラー、色など世界の最先端をサローネで体感

私には、未就学児の息子が2人います。正直6日間の旅の間、この子たちから離れて大丈夫なのかと悩みました。ただ、自分の人生にとって貴重な学びを得るチャンスだと思ったこと、母もサポートしてくれると背中を押してくれたこともあり、思い切ってイタリア行きを決めました。
だからこそ、しっかりと見て感じる学びを大切にしたいと思っていたのですが、そんな私がひかれたのはやはり水まわりのアイテムを発表しているブランドです。
「本当に使えるのだろうか?」と思うような豪華な大理石のバスタブや、通常ではあり得ない細さの注水口を持った3Dプリンターで作られていた水栓。
見るもの、触るものが普通の考えを超えていて、コーディネーターとしての私の「商品はこうある」というような固定概念が覆されました。

照明にも驚きました。照明はトレンドの一つとして今回の注目アイテムでしたが、まず、デザインがすばらしい。会場に一歩入った瞬間から、さまざまなブースの照明の一つ一つのデザインがかわいらしく、かっこよく、そして美しく、ただみとれるばかりでした。そして、デザインだけではなく、光の使い方や当て方がとても上手で、「照明を当てる角度一つでこんなにも印象が違う空間を作り上げられる」ということをまざまざと見せつけられました。

トレンドカラーではブルーやグリーンが目立っていましたが、私が気になったのは、ナチュラルでやわらかい木の色です。LIXILには現在おすすめの色として「コウノキ」というカラーがあります。サローネでも似たような色がトレンドカラーとして随所で使われていて、「LIXILも世界の先端を走っているんだ」と感じてなんだかうれしく、また誇らしく思えました。

最先端のテクノロジーが五感を刺激

そして、ぜひ訪れたかった場所の一つ、GROHEの「GROHE SPA」の展示も忘れられません。こちらの展示はサローネ会場ではなく、ブレラ美術館で行われていました。通常水のない美術館に水を湛えたステージを設置する、非常に規模が大きな展示会場には、カラー豊富な水栓や、革新的なテクノロジーで実現した水栓、そして五感で製品を体感できる空間などがあり、ただただ圧倒されました。中でもシャワーに関連する製品の空間では、音・照明・ミスト・映像で空間が構成されていて五感でGROHEの製品を体感でき、とても感動的でした。実際にシャワーを使用していないのに製品を体感できるという展示手法は非常に刺激的で、この空間を仲間たちにも共有できたらいいのに、と思いました。

デザインに敏感なお客さまがオーバーヘッドシャワーを検討されることが多いのですが、ご案内に活かせるキーワードやヒントを得ることもでき、大きな収穫がありました。
このイタリア滞在の間に全身で感じてきたことを、全力で関わるすべての人に伝えるのが、私のすべきことだと思いました。
さっそく、チームメンバーにはサローネ報告のプレゼンテーションを行いました!写真や動画と私自身が感じた説明を含めて共有しました。少しでも私が感じたものを伝え活かしてもらえるとうれしいです。
これからも、伝えられる機会があれば、なぜこういうデザインなのだろう、なぜこういった使い方をするのだろう、という視点を大切にして伝えていきたいです。

プライベートでは、日本に置いてきた子どもたちにはイタリア滞在中には一度も連絡を取りませんでした。一度でも連絡をしてしまうとママと離れたことを思い出してしまうかと思い、母にだけ旅の報告をしていました。
その甲斐あってか、不在中は息子たちも母の元で落ち着いて過ごせていたようです。
日本に無事に帰ってから、撮影してきた街並みやイタリアの食事の写真を見せながら視察の話をしました。息子たちから、「良かったね」という言葉をもらってほっとしました。
改めてこのタイミングで海外研修に参加することができて良かったと思いました。

田中さんのイタリア旅
イタリアを訪れるのは2度目。行きのトランジットでロストバゲージが発生し、ミラノ到着早々、ジャケットを急遽調達するハプニングが発生。ほかにも列車の脱線事故で予定の場所に行けないなど、トラブルが続いたが、何かあるたびに2人との絆も強くなった旅となった。

イタリアで得られた視点や情報は、お客さまやメンバーへ

世界の最先端が集まる展示会で、街中がデザインにあふれるイタリアで刺激を受けた6代目スペシャルコーディネーターの3名。口をそろえて言う体感したことは、3つ。

・日本の技術や品質を追求する想いに誇りを感じたこと。
・自分たちがいつも触れている水まわり商品の固定概念を覆されたこと。
・言語や価値観という垣根を超えた、真のホスピタリティが存在すること。

この経験を仲間とお客さまに還元していくことで、LIXILショールームのホスピタリティと品質のさらなる向上につなげていきたい。
そのためにも、自分たちが先頭を走っていくんだと強い想いを持って帰路につきました。
その想いが糧となり、これからさらにお客さまの笑顔の花をたくさん咲かせていくことができるでしょう。