株式会社LIXIL
LIXIL Advanced Showroom

LIXIL Advanced Showroom 10周年イベント~これまでの10年、そして未来~著名人対談企画vol.2_はたらき方_川嶋治子さん×鈴木社長

LAS設立からの”これまでの10年を振り返り、これからの10年に向けて私たちは何をするべきか?”という点にスポットを当て、各分野の著名人をお迎えし対談を行った全3回シリーズの第2弾。
今回は官公庁や上場企業などで多数のアドバイザリーをされている川嶋治子さんと、会社における多様性やパートナーとともに歩む、これからのはたらき方についての対談を行いました。

外見的な多様性だけでなく、内面的な多様性を大切にする

川嶋

私はDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)を専門とするアドバイザーです。変化の早い時代において、意思決定の質を高めるためには同質性の高すぎるメンバーだけでなく、多様なメンバーで議論をし、新しい未来を作っていく環境をつくることが重要です。

鈴木

私たちもDEIを重要視しています。DEIのDが意味するダイバーシティ(Diversity:多様性)の定義や必要性についても考えています。私たちのお客さまも多様で、さまざまな感性を持っていますので、私たちも多様な感性を持つことで、さまざまなお客さまの笑顔を実現していきたいと思っております。そのためには、社内の多様性の理解も必要ですし、積極的に取り組んできました。

川嶋

多様性とは性別や世代、国籍などの外見的な要素だけでなく、一人ひとりの考え方や生き方、生活の仕方などの価値観に直結する「内面的な多様性」、そして「属性の多様性」があります。御社では、内面的な多様性、属性の多様性も重要です。社員が多様な感性を持つことで、お客さまのニーズを理解し、そのニーズに応えることができます。それにより、社会の変化に対応したサービスを提供することができます。

鈴木

社会の変化といえば、現代では産休を取りながらはたらくことが一般的になりました。LASもかつては結婚や出産で退職する社員が多かったのですが、この10年で子育てしながらはたらき続けるための制度が整備されてきています。

川嶋

御社の制度や風土は素晴らしいですね!
産休や育休を社員が取得できることはもちろん、制度を使う風土が整っていると感じます。制度と風土は実際に制度を使うための両輪ですが、御社の取り組みからは両輪がしっかりまわっていることが感じられます。
御社の取り組みでは、女性がやりがいを感じながら仕事を続ける上で自分と家族の幸せを大切にしている姿が見えます。会社としてさまざまな変革を実施されてきたと思います。

鈴木

私は家庭か仕事か選ばざるを得ない状況を改善したいと思っていました。そのため、多様なはたらき方ができる会社を目指してきました。

川嶋

社長がその発想を持っていることが、御社がイノベーティブな会社である理由だと思います。

鈴木

ありがとうございます。私たちは毎月1回、社員のコンディションをアンケートで見える化しています。アンケートはコメントも記載できるため、さまざまな意見が寄せられています。その中には子育てや介護などの困りごともあり、私もそれを理解し、常にアップデートしています。

川嶋

情報のアップデートが常にされていることは素晴らしいですね。

日本の女性は頑張り屋さんが多いですが、助け合えるチームをつくることも大切です

川嶋

御社では家庭に合わせた、はたらき方やライフイベントについて話し合う機会を提供していますか?

鈴木

保健師の先生もいる健康推進部という部署を作りました。PMSや不妊治療、更年期などのタブーとされてきた話題も健康推進部や関連部署と話し合いを進めています。生理や不妊治療についても、一人ひとりの違いについて深く理解できていなかったと思います。一人ひとりに症状などの違いがあることは社員だけでなく、社員の家族の理解も大切です。その理解を深めるために誰でも参加できるセミナーなどを開催して仕事と家庭の両立について社員同士、社員と家族が話し合える環境を作ろうとしています。

川嶋

私は日本の女性活躍推進法ができる前から、女性の活躍やダイバーシティの先進国であるヨーロッパ諸国から学びを得てきました。そういった先進的な地域では、仕事と子育てや介護を両立する方法やチームでのはたらき方、人生のチームプレーが教えられています。
たとえば、フルタイムではたらきながら同年代の夫婦で子育てをする場合、はたらき盛りの時期が重なります。その時期に、両親や友人、保育園の先生や介護施設の方々、お手伝いさんなど、支えてくれる人々と信頼関係を築きながら協力し合うことが「チームではたらく」ということです。
特に日本の女性は頑張り屋さんが多いのではないでしょうか。仕事と家庭を両立させるために自分だけで頑張ろうとして、外の人に何か手伝ってもらうこと、実家のご両親が手伝いにきてくれることが申し訳ないとなってしまいがちです。しかし、自分の人生を豊かにするためには、パートナーや周囲の人々と協力し、多くの人の力を借りながら人生を創り上げることも大切です。

鈴木

なるほど。「チームではたらく」というのは素晴らしい考え方ですね。ところで他の会社では、社員が継続的に働ける環境を作るためにどのような取り組みを行っているのでしょうか?

川嶋

業界によっても分かれますが、女性の社員が多い会社では子育てと仕事の両立支援が重要です。仕事にやりがいを感じている人が、ライフイベントを乗り越えながらマネージメント職を目指していくこともあります。より責任の大きい役職になるために、どのようにステップアップすればいいのかという相談が多いです。

鈴木

私たちの会社は、基本的に管理職を立候補制にしています。マネージャーになることは自由意志であり、お互いが合意し、整った環境で頑張ることができます。それによってマネージャーになってよかったと思うことができます。

川嶋

女性のマネージメント職に対する責任や大変さを心配している人は多いです。また、マネージメント職になるとお客さまとの関係が遠くなることも考えられますが、そのためには次のステップでどうやりがいを見つけるられるかということが重要です。

鈴木

マネージメント職を目指す人もお客さまに近い仕事を目指す人も、会社として重要なことは、自分のやりがいや目的を達成するために最大限パフォーマンスを発揮できる環境を作ることです。私はそのような会社を目指して頑張りたいと思います。

これから10年先の未来について

鈴木

これからの10年を見据えたとき、社会の方向性と私たちの方向性は一致しているのでしょうか?

川嶋

重なっていると思います。最近ではさまざまな立場の大人が協力し、子どもたちを育てていくという「共育て」という言葉がうまれ、経済産業省も使いはじめています。チームを作る考え方とも近いですね。社会全体がこの方向に向かっていくでしょう。

鈴木

子育て中のサービス業従事者にとって、土日の仕事と子どものイベント参加の両立は難しい問題です。しかし、現場では休みを取る人とサポートする人が協力し、対応しています。今後はそのサポートメンバーの支援も強化していきたいと考えています。

川嶋

一時的に土日出勤の負担を受けるサポート側の社員を支援する環境を作るというのは、DEIのEが意味するエクイティ(Equity:公平性)にあたる考え方です。最近では、社員を支援するため手当などを出せないかと考える会社が増えています。そのエクイティの施策として政府からなんらかの支援があると、会社として共育てを進める環境が作りやすくなりますね。政府の取組みにも注視して期待したいなと思っています。

鈴木

エクイティ、おっしゃる通りだと思います。社会情勢への理解を深めながら、私たちも社員が心身ともに健康ではたらける会社をつくっていきたいです。

川嶋

テクノロジーの進化によりラストワンマイルの重要性が高まっています。御社は人の手やぬくもりがなければ届けられない価値を提供し、社員の幸せと健康を大切にしていると感じました。他の会社が気付かなかった課題や解決策を見つけ、モデルケースとなっていると思います。

鈴木

ラストワンマイルの部分で価値を提供するためには、社員の心身の健康が欠かせません。この仕事には好きだけではなく、健康と幸せから湧いてくるエネルギーが重要です。DEIの考え方を通じて、協力し合って職場環境を改善することが重要です。

川嶋

御社が今より良い環境になるためには、一人ひとりの社員がどんなことを考え、どのような方向性で行動すべきかを考える必要があります。

鈴木

社員が自身の発想を持ち、会社のミッションやビジョンを考えることが大切です。そのような機会が増えれば、社員と会社は同じ方向に進み、お互いに信頼関係を築くことができます。会社は単に雇用するだけではなく、ミッションに共感する社員と協力して目標を達成するパートナーとなるべきで、社員がやりがいや喜びを感じられることが重要です。変化の激しい時代だからこそ、一緒に乗り越える方法を考える必要があります。うまくいかないこともあるかもしれませんが、それでも共に考え、行動することが大切だと考えています。

川嶋

お話を聞かせていただいて、確固としたミッション、ビジョンを実現するための制度、取り組みがあるからこそ、一人ひとりの社員の皆さまが輝き、お客さまの笑顔を思っている温かくてイノベーティブな会社であることを知ることができました。今後、御社がどんな風に飛躍発展されるか楽しみです。

鈴木

私たちはこれからも変革を続け、変化の激しい社会に対応していきます。社員と会社の絆、信頼を大切にし、より良い会社を目指していきます。本日はありがとうございました。

<プロフィール>
川嶋治子さん
内閣人事局はじめ各省庁の女性リーダー育成、外資系企業、日系グローバル企業のDE&I推進アドバイザー。
専門分野は、経営戦略としてのDiversity, Equity & Inclusion、女性リーダーシップ、Authentic Leadership、グローバルリーダーシップ、組織変革、パーパス経営、MVVと人事戦略。グローバルリーダーシップ軸では、世界各国と日本市場の文化差に着目した異文化マネジメントをベースとしたリーダーシップトレーニング開発を手掛けており、これまで、アメリカ、フランス、イスラエルなどの海外教育ベンチャーの日本進出時のパートナー(女性役員育成プログラムの日本展開)や、グローバルリーダー育成プログラムのローカライズなども手掛けている。