「お客さまの笑顔のために」というミッションの実現に向けて、接客をはじめとし、社内外で様々な取り組みを行っているLIXIL Advanced Showroom(以下、LAS)。より多くの人の笑顔を咲かせるため、LASでは独自のCR活動も行っています。それが全国に桜の植樹を行う「笑顔の桜プロジェクト」、SMILE Point(スマイルポイント)の寄付、「LASサステナビリティサポーター」によるプロジェクトです。これらのCR活動を通じて、コーディネーターからお客さまへ、LASから地域へと笑顔が繋がっています。具体的な取り組みやその広がりについて、プロジェクトの立ち上げと前期までの運用を担当していた国弘さんと、ショールームでコーディネーターの梅本さん、曽我さんに伺います。
単なるアンケートじゃない。「開花だより」が繋ぐもの
LASではCR活動として、「笑顔の桜プロジェクト」、SMILE Pointの寄付、「LASサステナビリティサポーター」プロジェクトを行っていると伺いました。はじめに、植樹活動について教えてください。
国弘
「笑顔の桜プロジェクト」は「お客さまの笑顔のために」というミッションの実現の証として行っている活動です。当社では、ご来館いただいたお客さまからアンケートで高い評価をいただいた際、そのコメントが担当コーディネーターに届く仕組みがあります。それを「開花だより」と呼び、お客さまの笑顔が咲いた証としています。そして2020年3月より、この「開花だより」1万通につき1本の桜の植樹活動を全国各地で開始しています。
これまでに、何本の木をどこに植えてきたのでしょうか。
国弘
まずは全国各地域での植樹を目指して取り組み始め、現在は9府県(宮城県、埼玉県、愛知県、奈良県、広島県、熊本県、大阪府、福井県、長野県)で合計30本の木が植えられています(2025年4月現在)。また、植える場所は自治体の方や関係者と相談しながら、植える意義のある場所を選んでいます。
埼玉県での植樹は、秩父市の方と相談して美の山公園を選定しました。この公園は蓑山(みのやま)の山頂にあり毎年アジサイが綺麗に咲く人気スポットなのですが、山頂より下で咲いているアジサイは育ちにくいそうです。そこで、桜の木を植えて陰を作ることでアジサイが再び元気に育つのではないかという話を聞き、ここに植えることにしました。
ほかにも取り組みが考えられる中で、なぜ桜の植樹を選んだのですか?
国弘
植樹の活動が始まる前は、開花だよりをいただいたコーディネーター個人が笑顔になることがゴールだったのですが、あくまでも弊社のミッションは「お客さまの笑顔のため」。開花だよりをいただくことの一歩先で、ミッションの実現に向けての取り組みをカタチとして残せるものができないかと考えました。
そこで出てきたのが植樹のアイデアでした。木々が少しずつ育っていく様子を社員や地域の方が見守り、その成長を楽しむことができ、年月が経ってもLASと繋がりがある場所を作っていきたいという想いは、社内でも多くの方に共感をいただいています。木の種類については日本らしく情緒的な桜を選びました。植樹を通じて社員のモチベーションが上がり、桜の木を通じて地域との新しい繋がりや関係性ができたら、という想いを込めています。
曽我さんは実際に美の山公園での植樹に参加されたそうですが、いかがでしたか?
曽我
自分の手で木を植えるという工程を通じて、お客さまからの開花だよりがこの1本の木になっているんだと実感して「もっと開花だよりを集めたい」という気持ちが高まりました。また、近隣の複数のショールームから社員が集まって植えるので新しい出会いもあり、わくわくする体験でした。
開花だよりは単なるアンケートではなく、社員のモチベーションやお客さまの笑顔、地域との繋がりを生み出しているのですね。開花だよりが日々の仕事にどう影響していると感じますか?
梅本
私はショールームでエクステリア商品のご案内とご提案をしています。バランスや色合わせに悩みを持つお客さまが非常に多くいらっしゃいますので、イメージをお伝えしながらお客さまの理想に近づけられるような提案を意識しています。そうした日々の中で、「色に関するアドバイスをいただけてありがたかったです」「とてもためになることを聞けました」といったコメントが添えられた開花だよりををいただけると、すごく嬉しくて、感極まって泣きそうになったこともあります。そうしたお客さまからの声をモチベーションにし、もっとお客さまに満足してもらうためにはどうしたらよいかをさらに研究し、それがまた新たな開花だよりをいただくことに繋がるという、お客さまの笑顔のサイクルができていることを実感しています。

コーディネーターの梅本さん。外から見た家の印象を左右するエクステリアの提案を担当しており、お客さまの理想の家づくりをお手伝いするため、色やイメージに関する提案を大切にしている。
曽我
直接褒めていただく場面はなかなかないので、そういうお声はすごく嬉しいですし、モチベーションも上がりますよね。逆に、開花だよりはいい言葉だけでなくご指摘やアドバイスをいただくこともあり、そういう時は気が引き締まります。
開花だよりでいただいて嬉しかったお客さまからの声には、どのようなものがありますか?
曽我
接客を担当したお客さまからお誘いいただき、完成した家を訪問したことがありました。その後のメールで「曽我さんと打ち合わせしてできたこの家で、これから幸せな家庭を築いていきたいと思います」とおっしゃっていただいて。私が担当したこの家がこの先もずっと続いて、その中で幸せな家庭が築かれていくんだな、とすごく感動しました。

コーディネーターの曽我さん。植樹をはじめとする活動に参加し、社内におけるサステナビリティの推進にも積極的に取り組んでいる。
梅本
半年近くご案内していたお客さまから最終的な仕上がりの写真をメールでいただいた時に、私が継続してご提案していたものとほぼ同じになっていたことがありました。お客さまのイメージと合っているかどうか試行錯誤しながらご提案を進めていたため、イメージとリンクできていたんだと嬉しくなりましたし、自信にも繋がりました。
社内から社外まで広がるサステナビリティ
植樹と同じくCR活動として行っているSMILE Pointの寄付活動について、概要を教えてください。
国弘
「SMILE Point」は、LASのバリューであるSMILE Valuesに沿った行動をしている人に対して社員同士が贈りあうもので、ポイントを贈る際はメッセージを添えることもできます。日々の感謝や尊敬の気持ちを伝えるコミュニケーションツールとしても定着しています。この全社分のポイントを、毎月2つのNPOに寄付する活動を行っています。
一つは、途上国での子どもへの教育支援を軸に、アジア・アフリカで支援活動を実施している特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパン。もう一つは、保健所で殺処分されるはずだった犬猫を保護し、飼い主を探す活動をしているNPO法人犬と猫のためのライフボートです。
ただ、寄付の活動を通じて私たちに何ができるかは手探りのため、各団体と相談しつつ、ウクライナでの紛争や能登半島での地震など、その時に必要としている方々への寄付も行っています。
世界の子どもたちや保護犬・保護猫の支援を始めた経緯を教えてください。
国弘
SMILE Pointを贈り合う文化が社員の行動意識を高めてお客さまの笑顔に繋がっていたのですが、そこからさらに広く、世界の子どもたちの笑顔にも繋がっていくことを目指してグッドネーバーズ・ジャパンへの寄付活動が始まりました。ただ、世界という規模の大きい話になると、自分とは遠いことに感じてしまう人もいます。そこで、もう少し身近に感じられて、日本国内での笑顔が繋がる活動として、保護犬保護猫の保護活動を実施しているNPOへの支援を始めました。鈴木社長は自宅で保護猫を飼われていますし、犬や猫が好きな社員も多いので、共感度も高く、より身近に感じていただきながら笑顔を広げていける支援活動となっています。

前期サステナビリティ推進を担当していた国弘さん。「会社としてサステナビリティな取り組みをすることの大切さを伝える機会を増やして、LAS全体で意識の底上げをしていきたい」と志を語る。
社内でも笑顔が広がっているのですね。関連して、社内向けの取り組みである「LASサステナビリティサポーター」プロジェクトについても教えてください。
国弘
環境保護や世界の衛生問題の解決など、社会貢献の大切さを社内に伝えることで会社全体として意識を高め、暮らしの中でできることを実践できるようになることを目指して始まったプロジェクトです。社内でサステナブルな取り組みへの理解促進を図るメンバーを有志で募り、サステナブル活動の社内啓蒙、ショールームメンバーとの連携、情報発信を行っています。
曽我さんもLASサステナビリティサポーターを務めているそうですが、サポーターになって変わったことはありましたか?
曽我
サポーターになる前は「サステナビリティ」と聞くと、自分とは遠いことのように感じていましたが、サポーターになったことをきっかけに、サステナビリティな取り組みとして何ができるかを考えるようになりました。
皆が笑顔でいられるように。CR活動を通じて繋がる人と人
こうしたCR活動があることで仕事のモチベーションに繋がった経験を教えてください。
梅本
私はまだ植樹活動に参加したことがないのですが、植樹の報告を聞いて、確実に笑顔が増えていることを感じています。また、CR活動を通じてモチベーションが高まった先輩が、たくさんの開花だよりをいただいているのを何度も見てきました。そういう先輩方の姿を見ると、私ももっと接客の質を高めながらお客さまに寄り添い、笑顔を咲かせられるようになりたいと感じます。

「私もぜひ植樹に参加したいです」と、前向きな気持ちを語る梅本さん。
曽我
先日も寄付をした団体からお礼の動画をいただきました。それを見て、日々自分がやってきたことが誰かの笑顔に繋がっていることが実感できました。接客で目の前のお客さまの笑顔に貢献することに加えて、会社としてたくさんの人の笑顔に貢献することができることにやりがいを感じています。

さまざまなCR活動を広げているLAS。曽我さんは「いずれは活動を通じて地元にも貢献したい」という思いを持つ。
今後、CR活動をどのように広げていきたいと思いますか。
梅本
答えていただいたアンケートがこうしたCR活動に繋がっていることをまだ知らないお客さまも多いと思います。認知していただくこと自体がCR活動を広げる上でも重要だと思うので、私自身はもちろん、ショールームのメンバーと試行錯誤しながら認知していただくための取り組みを実施していきたいです。
曽我
現状では、サステナブルな取り組みとして一般的にイメージするのは、「ビニール袋を買わない」くらいのレベルだと思います。それももちろん意味のあることですが、2030年までにSDGsの目標を達成するには、環境だけでなく人間の多様性なども含めて広い視野で考えられるようになる必要があります。そのために、少しでもサステナブルな考え方を社内で広めていきたいです。その一歩として、休憩中の雑談でサステナブルな話題が出るなど、日々のどこか一部を少しでも変えられたら嬉しいですね。その先で、サステナブルな社会のための取り組みをみんなで考えられるようになっていけたらいいなと思います。
国弘
お2人のお話を伺って、やはり人それぞれの想いがあるのだと改めて感じました。一人ひとり、何に貢献したいかや興味関心は違います。だからこそ今の取り組みを完成形とはせず、やり方を模索し続け、いろいろな方と相談しながら一緒に作り上げて、もっと多くの人が関われるようなCR活動にしていきたいと思っています。

もう少しで全エリア制覇となる桜の植樹。「植える場所などについても社内から声を聞き、もっとたくさんの社員が前向きに取り組んでもらえるようにしたい」と語る国弘さん。
LASでのCRの取り組みには「笑顔」がキーワードだと思いますが、より多くの人に笑顔を咲かせるための抱負を教えてください。
梅本
お客さまの笑顔を咲かせることを目指して取り組むことは重要ですが、私の周りや私自身にも笑顔が増えていかないと、お客さまに笑顔を咲かせることはできないと思っています。だから、まずは周りの人や自分から笑顔にできる環境を提供できる自分になるのが一番の目標です。
曽我
私も同じです。以前、「お客さまの笑顔のため」とプレッシャーを感じて難しく考えてしまっていた時期があったのですが、その時は開花だよりの枚数が少なくて。その後考え方が変わり、自分が楽しいことをするようになったらお客さんも笑顔になって開花だよりも増えたんです。その経験から、自分自身が楽しんでいて笑顔であることが大事だと分かったので、これからもそれを大切にしたいと思います。
国弘
植樹などの取り組みに参加したいと思っていても、子育てや介護など家庭の事情でショールーム外の活動への参加がなかなかできない社員もいます。でも、バリュー活動を通してSMILE Pointを贈りあうことで、CR活動には参加していただいています。その参加を通じて、社会を良くするための流れの一部であることを感じてもらい、お客さまだけでなく社員も含めて、皆が笑顔でいられる環境作りを今後も目指していきたいです。