株式会社LIXIL
LIXIL Advanced Showroom

震災を伝え、学ぶ「海の見える命の森」の今
〜「お客さまの笑顔のために」を実現し、桜の木として寄贈するCR活動〜

LIXIL Advanced Showroomでは、ご案内後にお客さまにアンケートのご回答を頂いており、おススメ度の指標であるNPSが高い回答を、日ごろの努力が実り、お客さまの笑顔の花が咲いた接客の形である「開花だより」として、接客を担当したコーディネーターに送付させていただいております。

この「開花だより」を形として残すため、2020年より1年に1回、開花だより1万通につき1本の桜の木を、宮城県の南三陸町にある「海の見える命の森」に桜の苗木の寄贈・植樹をするCR活動を行っています。

この森は2016年より東日本大震災の慰霊と災害の伝承の場を兼ねた場として、町の有志やボランティアによって整備されている場所です。
震災から10年、被災地の復興は変わらず続いています。活動の現状や今後の計画等について、海の見える命の森実行委員会の実行委員長・後藤一麿さん、副実行委員長・阿部寛行さん、そしてこの森の土地を提供している南三陸ホテル観洋の副支配人で、事務局長の昆野守裕さんにお話を伺いました。

津波被害を受けた南三陸町での森づくりプロジェクトと桜の植樹

海の見える命の森は、宮城県南三陸町の有志による、慰霊と伝承の場を創生する森づくりのプロジェクトです。
2016年に有志が活動を開始し、2017年には実行委員会が立ち上がり、活動を本格化。志津川湾に面して建つ「南三陸ホテル観洋」の敷地内の高台に、東日本大震災という災害を通して「学んだこと」「後世に伝えなくてはならないこと」「祈りたいこと」「残したい風景」を伝える場所として、森の整備を行ってきました。
実行委員会やボランティアらが木々の生い茂る森を切り開いて散策路を作り、トイレやかまど、避難場所にもなる小屋など、さまざまな施設を順次整備しています。慰霊の場であり、災害のことを伝え、学ぶと同時に、訪れた観光客や子どもたちが美しい風景や豊かな自然に触れ、楽しめる場所でもあります。

未来予想図

実行委員会は2017年より桜の苗木の植樹を行ってきました。普段は花を楽しみ、有事の際は桜の木を避難の目印としてもらうことを目的としています。ホテルの副支配人でもある昆野さんによると、震災の語り部を通じてNPOの活動を知り、ホテルの所有する山を植樹の場として提供することにしたとのこと。「震災について伝え、復興のために何かをしたい」という想いが一つになり、森づくりと植樹が進んできたことが伺えます。

こうして、海の見える命の森に企業や個人が寄贈した桜は、現在では230本あまりになります。

コロナ禍でボランティアが激減する中、学生たちが積極的に活動

2020年は新型コロナウイルスの流行により、森の整備計画も大きな影響を受けました。緊急事態宣言によってボランティアの受け入れができず、その数は例年の1/3以下に。整備計画にも遅れが出ています。現場を指揮する副実行委員長の阿部さんは、「企業や学校、サークルの大学生など、大人数のボランティアが来られなくなってしまった」と残念がります。今年度中にかまどをつくり、また夏には井戸づくりも計画していますが、今は個人の有志ボランティアなどの力を借り、細々と整備を進めている状況です。

教育体験 看板作り

しかし、こうした状況の中、主体的にアクションを起こす若い人たちも出てきました。2020年の3月には、高校生や大学生による学生委員会が発足しました。現地に行けなくてもインターネットを通じた情報発信や、小屋づくりのためのクラウドファンディング実施など、さまざまなプロジェクトに着手し、遠隔から活動に参加しています。森の整備は未来を担う人材に、自然と人間との関わりを学んで欲しいという想いもあったことから、学生たちの活動には実行委員会としても喜び、期待をしています。

10年の節目に訪れたコロナ禍にも負けず、この先も伝え、考え続けていく

2021年は東日本大震災から10年目を迎えますが、復興はいまだ途上です。実行委員会では新たに「防災減災伝承体験プログラム」の提供をはじめました。語り部ガイドから地域の歴史や災害のことを学んだり、避難所体験として森に作ったかまどでの炊飯や、ピザ作りなどを楽しみつつ学べる内容を用意しています。取組みが評価され、このプログラムは2020年のジャパン・ツーリズム・アワードの国内訪日旅行部門に入賞を果たしました。

後藤さん語り部の様子

実行委員長の後藤さんは「人は忘れる生き物ですが、忘れたときに同じ過ちが繰り返されます。それを人の力で防ぐことが可能かどうか、現場に立ち、感じて、スキルにしてもらいたい」と、現地に来て学んで感じてもらうことの重要性を説きます。また、コロナ禍という世界を覆う災害は「再び自分たちに何かを学ばせようとしている」ともいい、未来を開いていくために、今こそ知恵を出し合い、進んでいく方法を考えていきたいといいます。

コロナ禍は人との関わり方を大きく変えました。しかし実際に顔を合わせ、交流し、語り合うことが人々の共通認識を作っていくというのが、実行委員会の考えです。再び海の見える命の森に多くの人が集い、一緒に語り、活動できる日を待ち、できることを進めています。「下ばかりは向いていられない。前を見て進みたいし、そのための力も必要。コーディネーターの皆さんも世の中が平常化したら、ぜひ植樹やさまざまな体験をしに来て欲しい」と望んでいます。

植樹作業(2020年3月11日) この日はLIXIL Advanced Showroomの社員も参加して植樹を行ないました。

LIXIL Advanced Showroomでは「お客さまの笑顔のために」を体現した結果を形として残す場所として今後も海の見える命の森に桜の寄贈、植樹をしていきます。3.11を風化させずに震災から教訓を、森の豊かな自然から生きる力を学び、未来を考える場所として、一人でも多くの社員が現地を訪れ、ボランティア活動や体験活動に参画していけるような施策も検討し、整えていきたいと考えています。

実行委員会からのメッセージ

海の見える命の森実行委員メンバー(左から阿部さん、後藤さん、昆野さん)

実行委員長・後藤一麿さん
「私たちは震災から学んだことを伝え、災害が起きても生きていく力について学ぶために、海の見える命の森を運営しています。この森は桜や雑木林の中に散策路が整備され、めぐり歩くと自然と人間の関係性が見える形で整備しています。人は自然の支えなしに生きることはできません。この森を通じて伝え、みなさんと一緒に考えていきたいと思っています」

副実行委員長・阿部寛行さん
「震災から10年を迎えますが、それが区切りになることはなく、私たちの日々の中の1日でしかありません。コーディネーターのみなさんもぜひ一度この地を訪れ、自然と向き合っていただきたいと思います。学ぶだけではなく、楽しんでもらうこともできる場所ですので、お待ちしています」

事務局長・昆野守裕さん(南三陸ホテル観洋副支配人)
「当ホテルでも、海の見える命の森の情報を随時発信しています。コロナ禍でお客さまが訪れにくい時期もありましたが、女将を筆頭にホテルとしても日々頑張っております。海が見える美しい場所ですので、ボランティアや観光で訪れた際はぜひ、当ホテルでの滞在も楽しんでいただけたらと思います」

南三陸 海の見える命の森プロジェクト http://www.facebook.com/inotinomori

海の見える命の森 学生委員会事務局 http://umimori2011.wixsite.com/mysite

南三陸ホテル観洋 スタッフブログ http://www.mkanyo.jp/tokimeki-pichipichi-dayori