株式会社LIXIL
LIXIL Advanced Showroom

聞きたくても聞けない障がいのこと、発信します。「YOurS通信」がもたらす多様性への理解

LIXIL Advanced Showroom (以降:LAS)のダイバーシティ推進活動“YOurS(ユアーズ)”。年齢や性別、文化国籍の違いなどに関わらず多様な個性を尊重し、活躍を促すさまざまな取り組みが実施されており、その活動の一環として、障がい者雇用で採用されたメンバー・YOurSの雇用と活躍推進が行われています。

<YOurSの取り組みについては、こちらの記事もぜひご覧ください>
https://www.lixil-as.jp/lalala/1585/

そして、2020年にスタートして以降社内で注目を集めているのが「YOurS通信」の取り組み。社内のコミュニケーションツール「ワークプレイス」にて、YOurSメンバーがみずから投稿を行い、YOurSの取り組みや、障がいを持つ人のリアルな経験や意見が発信されています。

今回は、YOurS通信を立ち上げ、発信を続けている2016年入社の森園さんにお話をうかがい、活動に込める思いを聞きました。

発信を通じて、自分たちのことを知ってほしい

YOurS通信の取り組みが始まったのは、2020年の11月。新型コロナウイルスの影響で運用や働き方が大きく変わり、YOurSメンバーの仕事もそれに伴って変化が必要となりました。そこで、私たちYOurSのことや、障がいのことをもっと知ってもらう機会を作り、新たな役割や仕事の依頼につなげてくれたらと思い、始めたのがYOurS通信です。この“ピンチをチャンス”に、ダイバーシティ&インクルージョン推進につなげられたらいいな、と。

LASではダイバーシティを推進しており、多様な人材が生き生きと働ける環境の実現に力を入れています。一方で、これまで障がい者と関わった経験がない人も多く、どうしてもちょっと身構えてしまったり、「この仕事を任せても大丈夫かな?」と、迷ってしまったりすることがあると聞いていました。

そこで、お互いに気持ちのハードルをなくすためにも、YOurSのことをもっと知ってもらい、聞きたくても聞けないような障がいのことなどもみずから発信していくことで、少しずつ多様性への理解につなげることができればと思っています。

会社の雰囲気にも少しずつ変化が

更新は週に1度。毎週欠かさず発信を続けるのはなかなか大変で、ときにはギリギリまで内容に悩んでしまうこともありますが、ここまで続けることができています。

発信の内容は、私自身の経験や、普段考えていること、周囲の人とのコミュニケーションのなかで興味を持った題材など。YOurS通信を更新するようになってから、日ごろからいろいろなことを吸収しておかなければ、と心がけるようになり、インターネットなどで意識的に情報を集めるようにもなりました。興味や知識が広がり、成長につながっていると感じます。

 

☆これまでの発信内容の例

#YOurS通信 #あの人変 #障がい者

YOurS通信Vol.38

エンプロイーオペレーション課 YOurSチームの森園です。

私たちは、本部及びショールームでの障がい者の採用や支援の活動に取り組んでいます。

今回は、私が外でよく遭遇する状況についてお話したいと思います。

私が、外を歩いていると、子供から、「何で杖してるの?」「あの人変だよ」と言われることがあります。意外に思われるかもしれませんが私は、このようなことを言われてもあまり気になりません。 理由は私が子供の立場だったら、目の前に自分の知らない道具をつかって歩いている人がいたら、絶対に気になるし親に聞いてしまうと思うからです。

ただ、それを言ったことで親から「見ちゃダメ」「そんなこと言っちゃダメ」と怒られている子供を見るのは苦手です。私は気にしていないのに怒られているのを見るとこちらまで悲しい気持ちになります。 子供は関わることをやめてしまうかもしれません。

だからこそ、疑問や興味を持った時に誰かに教えてもらうことは大切だと思います。そうすれば、同じ状況になった時には言うことはなくなると思います。出来れば、子供に教えてあげてほしいと思います。わからなければ親子で調べてみるのもいいかもしれません。

本日は、私が外出時に起こる状況についてお話しました。私は子供に直接聞かれたら喜んで答えるつもりです。しかし、今まで聞かれたことはありません。やっぱり聞きづらいのだと思います。しかし、子供が生きていれば障がい者や、色々な特性の人を見たり関わったりする機会があると思うのでタブーにせずに、話してほしいなと思います。

#YOurS通信 #障害

YOurS通信Vol.23

エンプロイーオペレーション課 YOurSチームの森園です。

私たちは、本部及びショールームでの障がい者の採用や支援の活動に取り組んでいます。

今回のテーマは、「障害」です。 私は、障がい者です。この言葉を聞く機会は多い方だと思います。しかし、これまで言葉の意味を考えたことはありませんでした。なので調べてみました。私が障がい者と接するときに大切にしていることも書いています。参考になればうれしいです。

「障害」ってなんだろう?

「ものごとの達成や進行のさまたげとなること、もの」だそうです

障がい者は「ものごとの達成や進行のさまたげとなること、もの」がある人ということになります。

この定義で考えると、社会とつながりながら生きていて”障害”がない人っていないんじゃないでしょうか。障がい者かどうかは関係なく、誰しも仕事や生活の中で様々な障害(困りごと)に悩んでいると思います。

障害を乗り越えるためにあなたならどうしますか?

私は、自分で乗り越えることが難しい障害(困りごと)は周囲の人に協力してもらって乗り越えると思います。皆さんも同じじゃないでしょうか? このように考えていくと障がい者だからと、特別に考えなくても良い気がします。もちろん、身体障害、精神障害、知的障害など様々な障害があります。知識として様々な障害について知っておくことは大切だと思います。私自身も症状については勉強をしています。 ただ、同じ障害でも症状は人それぞれです。大切なことは、障がいではなく個人としてみてあげることだと思います。

また、よくコメントをくださる人やファンと公言してくださる人もいて、とても嬉しいです。「これまで気づかなかったことを教えてくれてありがとうございます」と言ってもらえたこともあります。

障がいの有無に関わらず、悩んでいることは意外と同じで、接するうえでそれほど特別なことをしなくてもいいんだ、ということにも徐々に気付いてもらえているようです。

採用の面でも、YOurS通信が始まってからは、各ショールームから「YOurSを採用したいです」「YOurSでも、一般枠でもどちらでもいいです」と言ってもらえることが増えてきたと聞いています。多様性への理解に役立てているという実感を、少しずつ持てるようになってきました。

リアルな悩みや葛藤の発信で、反響を呼ぶことも

これまでの発信で特に思い入れがあるのが、「障害受容」について書いた回です。これは、私自身が障がいを持っていることに対して、「どうして自分はこれができないんだろう」と、人と比べて落ち込んでいた時期に書いたもの。こんなふうに悩んでしまうということは、自分自身、障がいを受容することができていないんじゃないか、という思いや葛藤を正直に書きました。

私のように先天性の障がいを持つ人は、「生まれたときからそうだから」と、当たり前に自分の障がいを受け入れていると思われることが多いのですが、やっぱり人を羨ましく思ったり、落ち込んだりすることもあります。障害受容についての経験談などをインターネットで調べてみたのですが、先天性の人の障害受容について、リアルな思いが書かれたブログなどは見当たらなくて。それで、私自身の気持ちを共有してみようと思ったんです。

#YOurS通信 #障害受容

YOurS通信Vol.28

エンプロイーオペレーション課 YOurSチームの森園です。

私たちは、本部及びショールームでの障がい者の採用や支援の活動に取り組んでいます。

本日のテーマは、「障害受容」 です。これは障がいを受け入れて前向きに生きていこうという意味です。私自身この言葉の意味を考える機会がありましたのでお話させてください。

私の障害について

私の障がいは生まれつきの脳性まひです。そのため、歩行には杖を使用しています。歩くのも遅いです。普通の人の2倍くらいかかります。手にもマヒがあり、細かい作業が苦手で不器用です。

障がいについては高校生になったあたりから、悩むことはあまりなくなりました。これは自分には出来ないこと、これが自分なんだと認めることが出来るようになったんだと思います。

社会人になり、仕事で自分に出来ること、出来ないことに戸惑うことはありましたが、障がいそのものを受け入れられないということはありませんでした。きっと、自分は障害受容が出来ているんだと思っていました。

ある日、嫌なことが重なり落ち込んでいました。そしてその気持ちのまま散歩していました。町ですれ違う人を見たときに「歩けていていいな」「うらやましい」「くやしい」といった感情が出てきました。障がいを持っている自分を責めるようなことを思ったのは久しぶりだったので驚きました。

その後もしばらく落ち込んでいました。落ち着いてから何で落ち込んでいたのか考えてみました。きっと、頑張っているからだと思いました。自分なりに頑張って色々なことを出来るようにしようと努力をしているからこそ、障がいのために出来ないことがあるということが気になってしまったんだと思います。

自分としては、「歩けていいな」という感情が出てきたことは悪いことではないと思っています。自分に出来ないことが出来る人はやっぱりうらやましいと思うからです。でも、それで自分を責めたり、努力をやめてしまうことは良くないことだと思います。障害受容が出来ている人は、障がいについて悩んだり、落ち込んだりすることがあっても前向きに生きていけてる人だと思います。意識していきたいと思いました。これは障がいの有無に関わらず大切なことだと思います。

投稿すると、大きな反響をいただきました。「森園さんは、障害受容できていると思いますよ」といった励ましの言葉や、中途障がいを持つ社員から「自分も受容するのにすごく時間がかかっているけれど、励ましてもらった」と、コメントをもらい、これからも頑張っていこうと思うことができました。

YOurSの活躍を届けることが、ダイバーシティ推進につながる

これまで、1年と少しの期間YOurS通信を続けてきました。さまざまなことを考えたり、たくさんの反応をいただく経験を通じて、「ダイバーシティに関する発信をするものとして恥じない生き方をしなければ」と、背筋が伸びたように思います。私は消極的で、なかなか自分から行動できないところがあるのですが、困っている人や悩んでいる人がいたら、以前より積極的にサポートできるようにもなりました。少しずつではありますが、自分に自信が持てるようにもなってきていると感じます。

今後は、私以外のYOurSメンバーを紹介や、機会があればメンバー本人の口から障がいについて話してもらうなど、発信の内容を広げてみるのもいいかも、と、あれこれ考えているところです。YOurSのメンバーみんなの活躍につながるような取り組みができたらいいですね。

そして、LASが掲げる「SMILE Values」のなかで、私が特に大切にしているのが、「Esteem-敬意-」です。

Esteem-敬意-

多様性を重視し、お互いに感謝と敬意の気持ちを忘れずに、働きがいのある職場環境をつくります

きっと、周囲に助けてもらわなければできないことが今後もたくさんあるはずなので、感謝の気持ちと敬意を持って、ダイバーシティの推進に貢献していきたいと思います。

※通常オフィスではマスクを着用して業務させていただいておりますが、記事制作のため、一時的にマスクを外してイメージ撮影をおこなっております。