お客さま満足を高めるのは基本ヒアリングの徹底と振り返り。予約での指名も多いコーディネーターの接客スタイルに迫る
コーディネーターの仕事の基本は、お客さまのご要望を理解するためのヒアリングです。必要な情報や潜在ニーズをたくさん引き出すことが、その後の満足度にもつながります。
今回登場いただくのは、丁寧なヒアリングでお客さまの評価も高いコーディネーターの中里さん。接客における心がけなど、上手なヒアリングの秘訣を探ります。あわせて仕事と家庭を両立させるため、中里さんが乗り越えてきた葛藤や現在の考え方もお聞きしました。
お客さまの快適な暮らしを実現する仕事に魅了される
私がコーディネーターの仕事に興味を持ったのは、子どもの頃に実家を建てた経験が影響しています。ハウスメーカーとの打ち合わせに同席し、壁紙に自分の意見を入れてもらったりしたことは、忘れられない思い出です。そして家ができたときの感動や住んでみた心地よさ、そしてそれを叶える仕事って「すごい」と感じました。お客さまの人生に関わって記憶に残る喜びが、この仕事の面白さだと思います。実際に仕事をしてみても、お客さまが「今より快適な暮らし」ができるようにご案内し、喜びの声をいただくと、「この仕事をして良かった」と感じる日々です。
仕事で大切にしているのはお客さま目線です。一緒にはたらいてきた歴代のマネージャーの方々は、「(お客さま目線の)軸がブレてはだめだよね」とよく言っていました。その言葉は、どんなときも忘れることはありません。お客さま目線で考え、今よりも快適な暮らしを楽しんでいただくことを一番に考えながら、一組、一組の接客に向かい合っています。
基本のヒアリングの徹底で、本当に必要なものを見つけていく
お客さま目線を大事にという部分で、具体的には最初のヒアリングを大事にしています。お客さまから情報を引き出していくわけですが、研修などで教わった基本のヒアリングをしっかり行うことが大切です。
私は、新しいリフォーム接客のスキル研修で改めて基本のヒアリングの重要性を感じました。今までは経験や感覚で接客してきましたが、「3つの『ど』(どうして、どんな、どのように)」を生かして来館の目的やご家族の構成、誰が何をどう使うのか。お客さまが重要視しているポイントや、他社比較をしているかどうかなども伺っていきます。そうすることでお客さまの生活スタイルを教えていただき、そのお客さまにとって最適なご案内をしていくことが可能になります。
今はお客さまもネットなどでさまざまなものを見て、多くの情報をお持ちです。そうすると、「食洗機はフロントオープンの方がいい」「このメーカーのものがいい」といったご要望をお持ちのこともあります。ご要望は尊重しながら、お客さまの生活スタイルを伺っています。「今どう使っているのか?」「どう思っているのか?」を伺っていくと、さらにお客さまに合ったご提案ができます。
例えば食洗機の例を挙げてみます。自宅で3食作って食べる自営業の方で、3食分まとめて洗えるフロントオープンの大きな食洗機を入れたいとなると「ぜひおすすめします」となります。一方「よくわからないけど深型食洗機がいい」というぼんやりとしたご要望の場合には生活の様子を伺い、本当にそこにお金をかけるべきなのかを考えます。その上で、他の部分にオプションをつけた方がもっと便利になるかも、と案を示しつつご相談していきます。
大事なのは私から断定するような形にしないことです。お客さまの生活スタイルに合っているか、実際にそれを使った生活がイメージできるようなお話をして、お客さま目線に立ってお話することを心がけます。そうしたやり取りから、信頼をいただけていると嬉しいです。
日々の接客の振り返りが、お客さまとの関係づくりを強める
接客後にいただくアンケートは、自分の接客を振りかえる良いきっかけになります。良いアンケートが返ってきたと思っても、「もう少しできたな」とか「初回からこういうご案内をしておけば、もっと喜んでもらえたのに」と気づくことも多いです。接客では失敗もたくさんしてきましたが、その経験からの改善も成長のバネになっています。
また、忘れられないのはマネージャーからの指摘です。「笑顔がもう少しあるといいね」と言っていただいたときは、本当にそうだなと気づき、意識していくようになりました。このように、お客さまやマネージャーなど、周囲からのさまざまな反応やご指摘から気づきを得て、自分に反映することが、良い接客につながっているのかもしれません。
デジタル化が進んだことで、以前は少し時間がかかっていたアンケートの情報が、今では接客をしてからのタイムラグが少ないうちに届き、接客を鮮明に覚えているうちに振り返ることができます。スムーズにお客さまの意見が得られることは、ヒアリング力向上につながっていると感じます。それに何より、お客さまからいただく声は自分のモチベーションを高めてくれる糧。アンケートを読める喜びをいつも噛み締めています。
そのほか、業者さまとの信頼関係づくりも大切です。コミュニケーションできる機会や時間があれば、いろんなおはなしをして情報を得るようにしています。業者さまへのまっすぐな対応を心がけているので、ご指名をいただいたこともあります。業者さまとの関係も大事にしていきたいですね。
家族に助けられながら、“背中を見せる”コーディネーターを目指す
仕事ではこうした努力を続けていますが、家庭との両立では実のところ悩んだこともあります。現在のショールームではチーフを一度務めましたが、産休・育休を機にコーディネーターに戻ることになりました。近くに土日祝預かりの保育園がなく、共働きで夫婦の休日が合わないなどいろいろな課題があり、チーフとして復帰しても続けるのは難しいと思ったからです。また、自分自身がチーフとしての仕事ができているかどうか、葛藤を持っていました。そこで復帰後はコーディネーターとして、接客を追求することにしました。「この人がやっているならできそう」「このやり方ならできそう」と思ってもらい、皆で実践しながらショールームを良くしていきたいのが今の想いです。
家庭との両立については、家族一丸で頑張っているところです。
夫は朝型勤務の多い仕事なので、朝早く出かけた分、子どものお迎えをしてもらったり、料理は得意なので夕飯を作ってもらったりしています。家庭内ではそれぞれが得意なことを分担する形で動くことが、両立のポイントです。夫の両親にもたびたび助けてもらい本当に頼りになっています。そして何より、ショールームのメンバーが理解し、サポートしてくれているからこそ、仕事を続けられていると思います。
ショールーム全体を向上させるためにチームワークを高める
現在は在籍ショールームのお客さまがLIXIL商品を使ってみたい、「欲しい」と思ってもらえる接客を目指し、懸命に取り組んでいます。コーディネーターとして会社の施策を体現しながら、寄り添う接客でお客さまに喜んでいただくことを追求していきたいと思います。
ショールーム内では皆と高め合えるような活動を目指しています。ショールームのメンバーのそれぞれの得意を生かし、互いに教え合ったりしながら、高めあうことができています。そんな中で私自身が心がけているのは、皆が前向きになれるようなアドバイスやサポートです。この先、育休明けで戻ってくるメンバーもいるので、私のように不安を抱えていることもあるはずです。そんなときに皆で協力し合いたいです。そうやって皆でショールームをレベルアップできるよう、頑張っていきたいと思います。
<プロフィール>
転職で派遣社員としてコーディネーターとなり、結婚を機に別エリアのショールームに異動。2017年に正社員となり、チーフも務めた。育休後は一般のコーディネーターとして復帰し、現在は時短勤務。休日は子どもといろんなところに遊びに行ってリフレッシュし、日々の仕事の活力にしている。